感想を語ったり普通に日記だったりするブログ。時々愚痴も出る。
語るのは主にTRPGリプレイものとサンホラと自サイト関連の話。
最近以前よりはカウンターが回っているんですが、まさかこれ目当てだったりするんでしょうか(笑)
ミラ読み物化計画第二弾。奴隷市場編。
これは銀盤以上に付け加える場面があまり浮かばない。
むしろこの次がかなりやりにくいところ。ヘタイラーズをどういうポジションにつけるか……。
当時の高級遊女ってどういうシステムだったんだろう。脳内ではナンバーワンホスト娼婦版?みたいなイメージなんですが。
まあいいや。自分の思ったようにやってしまえー。
ミラ読み物化計画第二弾。奴隷市場編。
これは銀盤以上に付け加える場面があまり浮かばない。
むしろこの次がかなりやりにくいところ。ヘタイラーズをどういうポジションにつけるか……。
当時の高級遊女ってどういうシステムだったんだろう。脳内ではナンバーワンホスト娼婦版?みたいなイメージなんですが。
まあいいや。自分の思ったようにやってしまえー。
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「っはぁ!」
御者の男の盛大な掛け声と共に馬車は走り出した。
大して整備もされていない道を爆走とも言える速度で走るのだ。馬車が揺れないはずがなかった。
カーブにさしかかる度、段差がある度、石を踏んで車体がはねあがる度。双子の体は容赦なく振られた。
客を運ぶための上品な馬車ではない。むしろ荷馬車とさえ呼べそうなほど質の悪いものだ。
重い手枷をはめられた二人は膝を抱えて力なく座っていた。同じような枷をした男達も馬車の中でうなだれていた。
老婆がいた。馬車がガタゴトと揺れ動くと驚き慄いていた。
老爺がいた。御者が馬鞭をしならせると目を見開いて何かを探すような素振りをした。
帰りたい。でも言えない。
帰りたい。でも帰る家がない。
揺れる馬車。薄暗い車内と、さらに暗い顔をした人々。これからどうなるのかという絶望にも似た不安。
エレフとミーシャに残された希望は、お互いの存在。
背中合わせに座る、その背中越しに伝わってくる温かな体温。トクントクンと脈打つ心臓の音。
――大丈夫。一人じゃないから。
一際盛大に揺れ、二人の小さな体は床に打ち付けられた。
不安で潰されそうに揺れる瞳に宿る、小さくとも確かな希望。
大丈夫。一人じゃない。
そうしてどれほど揺られただろうか。
不意に馬車が止まった。そして光が差し込まれた。
「着いたぞお前ら! さっさと降りろ!」
乱暴な口調で命令すると、男はこれみよがしに鞭をふりかざした。
手枷をはめた人々がのろのろと馬車を降りていく。双子たちも列に入っていった。
それは、無垢な子どもたちには信じがたい光景だった。
露天商。野山を駆け回っていた二人はその言葉を知らなかったが、例えるなら露天商の集まりのような場所だろう。
しかしここの商品はただの露天商とはわけが違う。
声を張り上げ時に媚びへつらい、商人たちが売りさばいているのは――人。
命に値段がつけられていた。
この場所が奴隷市場と呼ばれる場所だということも、無論二人は知らない。
人は誰しも平等なのだと、父は言っていた。
しかし、目の前で繰り広げられている光景は平等とは程遠いように思える。
「おいお前ら、ちんたらするんじゃない! とっとと歩け!」
鞭で脅されて彼らの"店"まで歩かされた。
道中では遅れていた男が本当に鞭で叩かれた。
大きな悲鳴と赤く残った傷跡。相当痛いに違いない。
だが……誰も気に留めない。
自分たちが怪我をしたら母が心配してくれたのに。まして、叩かれることなんてなかったのに。
何故、彼らは人が鞭で叩かれても知らん顔をするのだろう? 何故あの人は彼を叩いたのだろう?
不条理な現実を目の当たりにして子ども達はひどく動揺していた。
ここは奴隷市場。不条理が横行する命の市場。
それを受け入れるには……二人は無垢すぎた。
慰め程度に布切れの屋根がついた場所についた。連れてこられた人間たちはみな横並びに座らされた。砂利が足に刺さって痛い。
行き交う男達の無遠慮な視線は二人にも注がれた。その目が恐ろしくて、二人はどちらからともなく互いの手を強く握った。
足を止め、人一倍熱心に"商品"を眺めている男に店主が声をかけた。
「これはこれは、イリオンの方ではないですか。いつもご贔屓にしていただきありがとうございます」
「若いのが入ってるな」
「へぇ。こいつはよく働きますぜ。ちょいと脅せば従順になりますし、ぜひお勧めします」
「そうかそうか」
「おい、こいつはまだ買い手がついてないんだろ?」
「あぁ旦那。珍しい毛色でしょう? 今ならお安くしておきますぜ」
「そいつはいいや。ちょうど新しい少女が欲しいところだったんだ」
「いやはや、相変わらず良い趣味をお持ちですなぁ」
頭上を飛び交う会話。自分たちのことを話題にしていることはなんとなくわかったが、恐ろしくて頭が理解を拒否していた。
「……はい、確かに。まいどありがとうございました。今後もぜひご贔屓に」
店主が金を受け取る様をぼんやり眺めていると、先ほど金を渡していた男が近づいてきた。
不思議そうな顔をするエレフの腕をつかんで立ち上がらせた。
「さぁ、来い」
「……っ」
エレフは男を見て、ミーシャを見た。
いやだ。ミーシャと離れ離れになるなんて、絶対にいやだ!
連れ去られそうになるエレフを見て顔をこわばらせていたミーシャに、別の男が近づいた。
「お前はこっちだ」
「……いやっ!」
引き離されまいと、二人は暴れた。手を振り回し、なんとか男の手から逃れようとする。
「ミーシャ!」
「エレフ! エレフ!」
必死の抵抗を試みた。しかし、大の大人に担ぎ上げられてはもはやどうすることもできなかった。暴れたところで手足は虚しく空を切るのみ。
「エレフー!!」
「ミーシャー!!」
二人ができることは、ただ互いの名を叫ぶことだけ。痛ましい叫びが周囲の騒音にかき消された。
遠のいていく片割れの姿。
生まれた時から一緒だった二人。
一人じゃない、という小さな希望さえもあっけなく断ち切られた。
彼らは――何処へ向かって行くのだろう……。
御者の男の盛大な掛け声と共に馬車は走り出した。
大して整備もされていない道を爆走とも言える速度で走るのだ。馬車が揺れないはずがなかった。
カーブにさしかかる度、段差がある度、石を踏んで車体がはねあがる度。双子の体は容赦なく振られた。
客を運ぶための上品な馬車ではない。むしろ荷馬車とさえ呼べそうなほど質の悪いものだ。
重い手枷をはめられた二人は膝を抱えて力なく座っていた。同じような枷をした男達も馬車の中でうなだれていた。
老婆がいた。馬車がガタゴトと揺れ動くと驚き慄いていた。
老爺がいた。御者が馬鞭をしならせると目を見開いて何かを探すような素振りをした。
帰りたい。でも言えない。
帰りたい。でも帰る家がない。
揺れる馬車。薄暗い車内と、さらに暗い顔をした人々。これからどうなるのかという絶望にも似た不安。
エレフとミーシャに残された希望は、お互いの存在。
背中合わせに座る、その背中越しに伝わってくる温かな体温。トクントクンと脈打つ心臓の音。
――大丈夫。一人じゃないから。
一際盛大に揺れ、二人の小さな体は床に打ち付けられた。
不安で潰されそうに揺れる瞳に宿る、小さくとも確かな希望。
大丈夫。一人じゃない。
そうしてどれほど揺られただろうか。
不意に馬車が止まった。そして光が差し込まれた。
「着いたぞお前ら! さっさと降りろ!」
乱暴な口調で命令すると、男はこれみよがしに鞭をふりかざした。
手枷をはめた人々がのろのろと馬車を降りていく。双子たちも列に入っていった。
それは、無垢な子どもたちには信じがたい光景だった。
露天商。野山を駆け回っていた二人はその言葉を知らなかったが、例えるなら露天商の集まりのような場所だろう。
しかしここの商品はただの露天商とはわけが違う。
声を張り上げ時に媚びへつらい、商人たちが売りさばいているのは――人。
命に値段がつけられていた。
この場所が奴隷市場と呼ばれる場所だということも、無論二人は知らない。
人は誰しも平等なのだと、父は言っていた。
しかし、目の前で繰り広げられている光景は平等とは程遠いように思える。
「おいお前ら、ちんたらするんじゃない! とっとと歩け!」
鞭で脅されて彼らの"店"まで歩かされた。
道中では遅れていた男が本当に鞭で叩かれた。
大きな悲鳴と赤く残った傷跡。相当痛いに違いない。
だが……誰も気に留めない。
自分たちが怪我をしたら母が心配してくれたのに。まして、叩かれることなんてなかったのに。
何故、彼らは人が鞭で叩かれても知らん顔をするのだろう? 何故あの人は彼を叩いたのだろう?
不条理な現実を目の当たりにして子ども達はひどく動揺していた。
ここは奴隷市場。不条理が横行する命の市場。
それを受け入れるには……二人は無垢すぎた。
慰め程度に布切れの屋根がついた場所についた。連れてこられた人間たちはみな横並びに座らされた。砂利が足に刺さって痛い。
行き交う男達の無遠慮な視線は二人にも注がれた。その目が恐ろしくて、二人はどちらからともなく互いの手を強く握った。
足を止め、人一倍熱心に"商品"を眺めている男に店主が声をかけた。
「これはこれは、イリオンの方ではないですか。いつもご贔屓にしていただきありがとうございます」
「若いのが入ってるな」
「へぇ。こいつはよく働きますぜ。ちょいと脅せば従順になりますし、ぜひお勧めします」
「そうかそうか」
「おい、こいつはまだ買い手がついてないんだろ?」
「あぁ旦那。珍しい毛色でしょう? 今ならお安くしておきますぜ」
「そいつはいいや。ちょうど新しい少女が欲しいところだったんだ」
「いやはや、相変わらず良い趣味をお持ちですなぁ」
頭上を飛び交う会話。自分たちのことを話題にしていることはなんとなくわかったが、恐ろしくて頭が理解を拒否していた。
「……はい、確かに。まいどありがとうございました。今後もぜひご贔屓に」
店主が金を受け取る様をぼんやり眺めていると、先ほど金を渡していた男が近づいてきた。
不思議そうな顔をするエレフの腕をつかんで立ち上がらせた。
「さぁ、来い」
「……っ」
エレフは男を見て、ミーシャを見た。
いやだ。ミーシャと離れ離れになるなんて、絶対にいやだ!
連れ去られそうになるエレフを見て顔をこわばらせていたミーシャに、別の男が近づいた。
「お前はこっちだ」
「……いやっ!」
引き離されまいと、二人は暴れた。手を振り回し、なんとか男の手から逃れようとする。
「ミーシャ!」
「エレフ! エレフ!」
必死の抵抗を試みた。しかし、大の大人に担ぎ上げられてはもはやどうすることもできなかった。暴れたところで手足は虚しく空を切るのみ。
「エレフー!!」
「ミーシャー!!」
二人ができることは、ただ互いの名を叫ぶことだけ。痛ましい叫びが周囲の騒音にかき消された。
遠のいていく片割れの姿。
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彼らは――何処へ向かって行くのだろう……。
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時々愚痴も入る。人間だもの。
あ、カウンターは自作です。
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