感想を語ったり普通に日記だったりするブログ。時々愚痴も出る。
語るのは主にTRPGリプレイものとサンホラと自サイト関連の話。
激しく今さらですが悪ノ娘と悪ノ召使を聞きました。後者はPV版も。
で、書きたくなったから1時間半ほどでがーっと書いた。テスト前なのにNE!
悪ノ召使の「僕の服を~」のあたりから、あの台詞まで。
本当は最初から書けるといいんだけどそこまでは無理。
それにしても悪ノ娘→悪ノ召使のコンボは反則的だよちくしょう!
で、書きたくなったから1時間半ほどでがーっと書いた。テスト前なのにNE!
悪ノ召使の「僕の服を~」のあたりから、あの台詞まで。
本当は最初から書けるといいんだけどそこまでは無理。
それにしても悪ノ娘→悪ノ召使のコンボは反則的だよちくしょう!
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これが報いだというのならば、僕はあえてそれに逆らおう。
「どうして? どうしてどうしてどうして!」
彼女は取り乱したまま広い部屋の中をぐるぐる回っている。
芸術家に描かせた絵も美しい彫像も高価な調度品も、今の彼女にはなんの慰めにもなっていない。
「どうして家来達は誰もいないの? どうしてあの人たちは私のお城を取り囲んでいるの!」
ヒステリックに叫ぶときれいな金色の髪をくしゃりと潰した。
僕はそんな王女を離れたところから見ていた。
王女はそんな僕をキッと睨んだ。
「答えなさい! 私はどうなるの!?」
そんな、答えが見えた質問をしてどうするの?
憐れみに似たつぶやきは漏らさずに、努めて静かに答えた。
「彼らはこの国の暴君を倒すためにやってきた民衆。あなたを捕らえて処刑するつもりなのでしょう」
「……しょ……けい……?」
青い瞳が大きく見開かれる。予想はしていても、改めてつきつけられた衝撃は大きいのだろう。
豪奢なドレスに身を包んだ体がガタガタと震えだす。
「私は……殺されるの……?」
信じられない。その顔にはそう書いてある。書いてなくたって僕にはわかる。だって僕らは双子だから。
「私は……この国の王女なのよ? 国民だってなんだって、全部私のものなのよ? なのに……」
その先の言葉は続かず、彼女は泣き崩れた。
恋の嫉妬から一国を滅ぼした暴君。今、民衆の怒りから滅びの切先は彼女自身に及ぼうとしている。
だけど。
――そんなことはさせない。
人は愚かだと笑うだろう。でもこれは僕の望むことだ。
泣き崩れる彼女の肩に手をかけると優しく言った。
「ほら僕の服を貸してあげる。これを着てすぐお逃げなさい」
男物だけど、仮にも王族の召使の服だ。仕立ては悪くない。
王女は僕が何を言っているのか理解できないらしい。濡れた瞳が困惑したまま僕を見つめていた。
「これから僕は君のドレスを着て、君の代わりに彼らの前に出て行く。
彼らが求めているのは王女の首。小間使いには目もくれないだろうから安心していいよ」
「それ……って……」
僕がやろうとしていることをついに察した王女の目が再び大きく開かれた。
そんな表情に気付かないふりをして、僕は笑った。
「大丈夫、僕らは双子だよ。きっとだれにもわからないさ」
「だめっ!」
王女が叫んだ。涙まじりの声で僕に詰め寄る。
「家臣はみんな逃げた! 私に残されたのはあなた一人なのよ!?
それなのに……あなたまでいなくなるなんて許さない! 絶対に許さないんだから!」
ふと、彼女の顔が名案を思いついたように輝いた。
「……そうよ。一緒に逃げましょう? そうすれば二人共助かるわ。
私達の顔を知らない遠くまで逃げるの。今までの豪華な暮らしができなくたって、あなたがいれば……そうよ、そうすればいい!」
希望が見えたと喜ぶ彼女に、僕はそっと首を振った。
「だめだよ。それでは彼らの怒りは収まらない。彼らは王女を見つけるまで血眼になって僕らを探すだろう。
そうなれば君が召使の振りをしたって逃亡に協力したとして殺されてしまう。
だから一緒に逃げることはできない」
「でも……だって……」
もはや力なく泣きじゃくるだけだった。そこにいたのは暴君でもなんでもない、14歳の少女。
僕はゆっくり立ち上がった。
「……そろそろ痺れを切らした彼らが踏み込んでくる。
その前に着替えておかないといけないから……もう行くね」
「!! 待って……行かないで! これは命令よ!」
ズボンの裾にしがみついてきた白い手。その手をそっと外した。
「今は僕が"王女"で君は逃亡者だ。もう君の命令は聞けない」
「……っ!」
言葉をなくした彼女を置いて僕は振り返らずに歩いた。
これでいい。
扉を後ろ手に閉め、僕は息を吐く。
これで彼女は自由になる。
僕はドレスに着替えた。慣れないドレスを身に着けるのは苦労したけれど。
そして今、僕は王座にゆったりと座っていた。
誰もいないもぬけの玉座に君臨する偽りの王女。あまりに虚しいその光景はもはや笑うしかない。
静かなその空間を乱す足音と怒声。王女をつるし上げようと怒り狂う民衆の群れ。
「いたぞ!」
怒声と同時に王の間に男達がなだれこんできた。先頭を切って入ってきたのは赤い女剣士。
すらりと剣を抜き放つと、僕に突きつけ叫んだ。
「飢える民衆を搾取して悪逆非道を尽くした暴君め! あなたの悪行も今日限りよ!」
暴君。
憎しみとともに放たれた言葉に僕は小さく笑った。
お前らに何がわかる。
彼女は、知らなかっただけだ。愛も、幸せも、人とのつながりも。
歪められた彼女の世界から見れば彼女は何も悪事などしていない。
しかしそれを叫ぶわけにはいかない。今の僕は"王女"。最期のその時まで、僕は彼女を演じきらなければ。
彼女ならこの時――こう言うだろう。
「この、無礼者!」
押し寄せた民衆の手によって"王女"は玉座から引き摺り下ろされた。
――そう。これでいい。
王女という身分には似つかわしくない無骨な石作りの牢。
暗く湿っぽいその場所に僕は一人で座っていた。
処刑の時間は午後の三時と告げられた。教会の鐘が鳴る時間だ。
しかし自分の死期を告げられても僕の思いは他のところにあった。
彼女は、ちゃんと逃げられただろうか。
僕らは双子だ。悪といわれた彼女と同じ血が、僕にだって流れてる。
そうだ。
全部、僕が悪い。これは僕に対する報いなんだ。
好きになった女性を殺し、隣国を滅ぼし、このままいけばこの国がどうなるか薄々気付きながら何もしなかった。
その報いを今受ける。それだけのことだ。
……。笑っていて、くれるかな。
牢番にも気付かれないよう、口の中で小さく呟いた。
やっと自由になった彼女。どうか幸せを見つけて、どこかで笑っていて欲しい。
君に笑っていて欲しいから、僕はどんな命令にだって従ってきたんだ。
おやつの時間になると見せてくれた無邪気な笑顔を思い出す。
そういえば昔、勉強なんて嫌いと言ってむくれていたなぁ。
嫌な勉強から解放される時間でもあるから、彼女はおやつの時間が大好きだった。
次第に思考は過去の出来事をなぞるようになっていた。
そんな思い出に浸る僕を現実に引き戻すように、重い足音が近づいてくる。
牢の入り口が開かれると、険しい表情の男達が僕に告げた。
「時間だ」
王が民を集めてスピーチを行う広場は民衆で埋め尽くされていた。
スピーチではなく、王女が処刑される瞬間を見るために。
縄で自由を奪われた僕は処刑台の前まで引きずりあげられた。
自分達を苦しめた暴君の姿を見にした人々が口々に罵り声をあげ、声は大きな渦となって僕に襲い掛かる。
しかし僕は民衆などには目もくれなかった。
見上げれば雲ひとつない青空が広がっていた。
――あぁ。空がきれいだな。
そこでふと我に帰る。そうだ。僕は最期の瞬間まで、"彼女"でいなければいけない。
彼女を知る人物が、間違いなく彼女だと信じる言葉。それはこれの他にないだろう。
処刑台に固定されてもはや何もできない。僕は目を閉じてその時を静かに待った。
時計の針は三時の示し、教会の鐘が鳴り響いた。
首の上空で揺れる刃を支えるロープに、斧が振り上げられた。
最期の瞬間。僕は目を開いてとぼけたようにこう言った。
「あら、おやつの時間だわ」
「どうして? どうしてどうしてどうして!」
彼女は取り乱したまま広い部屋の中をぐるぐる回っている。
芸術家に描かせた絵も美しい彫像も高価な調度品も、今の彼女にはなんの慰めにもなっていない。
「どうして家来達は誰もいないの? どうしてあの人たちは私のお城を取り囲んでいるの!」
ヒステリックに叫ぶときれいな金色の髪をくしゃりと潰した。
僕はそんな王女を離れたところから見ていた。
王女はそんな僕をキッと睨んだ。
「答えなさい! 私はどうなるの!?」
そんな、答えが見えた質問をしてどうするの?
憐れみに似たつぶやきは漏らさずに、努めて静かに答えた。
「彼らはこの国の暴君を倒すためにやってきた民衆。あなたを捕らえて処刑するつもりなのでしょう」
「……しょ……けい……?」
青い瞳が大きく見開かれる。予想はしていても、改めてつきつけられた衝撃は大きいのだろう。
豪奢なドレスに身を包んだ体がガタガタと震えだす。
「私は……殺されるの……?」
信じられない。その顔にはそう書いてある。書いてなくたって僕にはわかる。だって僕らは双子だから。
「私は……この国の王女なのよ? 国民だってなんだって、全部私のものなのよ? なのに……」
その先の言葉は続かず、彼女は泣き崩れた。
恋の嫉妬から一国を滅ぼした暴君。今、民衆の怒りから滅びの切先は彼女自身に及ぼうとしている。
だけど。
――そんなことはさせない。
人は愚かだと笑うだろう。でもこれは僕の望むことだ。
泣き崩れる彼女の肩に手をかけると優しく言った。
「ほら僕の服を貸してあげる。これを着てすぐお逃げなさい」
男物だけど、仮にも王族の召使の服だ。仕立ては悪くない。
王女は僕が何を言っているのか理解できないらしい。濡れた瞳が困惑したまま僕を見つめていた。
「これから僕は君のドレスを着て、君の代わりに彼らの前に出て行く。
彼らが求めているのは王女の首。小間使いには目もくれないだろうから安心していいよ」
「それ……って……」
僕がやろうとしていることをついに察した王女の目が再び大きく開かれた。
そんな表情に気付かないふりをして、僕は笑った。
「大丈夫、僕らは双子だよ。きっとだれにもわからないさ」
「だめっ!」
王女が叫んだ。涙まじりの声で僕に詰め寄る。
「家臣はみんな逃げた! 私に残されたのはあなた一人なのよ!?
それなのに……あなたまでいなくなるなんて許さない! 絶対に許さないんだから!」
ふと、彼女の顔が名案を思いついたように輝いた。
「……そうよ。一緒に逃げましょう? そうすれば二人共助かるわ。
私達の顔を知らない遠くまで逃げるの。今までの豪華な暮らしができなくたって、あなたがいれば……そうよ、そうすればいい!」
希望が見えたと喜ぶ彼女に、僕はそっと首を振った。
「だめだよ。それでは彼らの怒りは収まらない。彼らは王女を見つけるまで血眼になって僕らを探すだろう。
そうなれば君が召使の振りをしたって逃亡に協力したとして殺されてしまう。
だから一緒に逃げることはできない」
「でも……だって……」
もはや力なく泣きじゃくるだけだった。そこにいたのは暴君でもなんでもない、14歳の少女。
僕はゆっくり立ち上がった。
「……そろそろ痺れを切らした彼らが踏み込んでくる。
その前に着替えておかないといけないから……もう行くね」
「!! 待って……行かないで! これは命令よ!」
ズボンの裾にしがみついてきた白い手。その手をそっと外した。
「今は僕が"王女"で君は逃亡者だ。もう君の命令は聞けない」
「……っ!」
言葉をなくした彼女を置いて僕は振り返らずに歩いた。
これでいい。
扉を後ろ手に閉め、僕は息を吐く。
これで彼女は自由になる。
僕はドレスに着替えた。慣れないドレスを身に着けるのは苦労したけれど。
そして今、僕は王座にゆったりと座っていた。
誰もいないもぬけの玉座に君臨する偽りの王女。あまりに虚しいその光景はもはや笑うしかない。
静かなその空間を乱す足音と怒声。王女をつるし上げようと怒り狂う民衆の群れ。
「いたぞ!」
怒声と同時に王の間に男達がなだれこんできた。先頭を切って入ってきたのは赤い女剣士。
すらりと剣を抜き放つと、僕に突きつけ叫んだ。
「飢える民衆を搾取して悪逆非道を尽くした暴君め! あなたの悪行も今日限りよ!」
暴君。
憎しみとともに放たれた言葉に僕は小さく笑った。
お前らに何がわかる。
彼女は、知らなかっただけだ。愛も、幸せも、人とのつながりも。
歪められた彼女の世界から見れば彼女は何も悪事などしていない。
しかしそれを叫ぶわけにはいかない。今の僕は"王女"。最期のその時まで、僕は彼女を演じきらなければ。
彼女ならこの時――こう言うだろう。
「この、無礼者!」
押し寄せた民衆の手によって"王女"は玉座から引き摺り下ろされた。
――そう。これでいい。
王女という身分には似つかわしくない無骨な石作りの牢。
暗く湿っぽいその場所に僕は一人で座っていた。
処刑の時間は午後の三時と告げられた。教会の鐘が鳴る時間だ。
しかし自分の死期を告げられても僕の思いは他のところにあった。
彼女は、ちゃんと逃げられただろうか。
僕らは双子だ。悪といわれた彼女と同じ血が、僕にだって流れてる。
そうだ。
全部、僕が悪い。これは僕に対する報いなんだ。
好きになった女性を殺し、隣国を滅ぼし、このままいけばこの国がどうなるか薄々気付きながら何もしなかった。
その報いを今受ける。それだけのことだ。
……。笑っていて、くれるかな。
牢番にも気付かれないよう、口の中で小さく呟いた。
やっと自由になった彼女。どうか幸せを見つけて、どこかで笑っていて欲しい。
君に笑っていて欲しいから、僕はどんな命令にだって従ってきたんだ。
おやつの時間になると見せてくれた無邪気な笑顔を思い出す。
そういえば昔、勉強なんて嫌いと言ってむくれていたなぁ。
嫌な勉強から解放される時間でもあるから、彼女はおやつの時間が大好きだった。
次第に思考は過去の出来事をなぞるようになっていた。
そんな思い出に浸る僕を現実に引き戻すように、重い足音が近づいてくる。
牢の入り口が開かれると、険しい表情の男達が僕に告げた。
「時間だ」
王が民を集めてスピーチを行う広場は民衆で埋め尽くされていた。
スピーチではなく、王女が処刑される瞬間を見るために。
縄で自由を奪われた僕は処刑台の前まで引きずりあげられた。
自分達を苦しめた暴君の姿を見にした人々が口々に罵り声をあげ、声は大きな渦となって僕に襲い掛かる。
しかし僕は民衆などには目もくれなかった。
見上げれば雲ひとつない青空が広がっていた。
――あぁ。空がきれいだな。
そこでふと我に帰る。そうだ。僕は最期の瞬間まで、"彼女"でいなければいけない。
彼女を知る人物が、間違いなく彼女だと信じる言葉。それはこれの他にないだろう。
処刑台に固定されてもはや何もできない。僕は目を閉じてその時を静かに待った。
時計の針は三時の示し、教会の鐘が鳴り響いた。
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自己紹介:
ゲーマー猫好きひっきー体質。これはひどい。
普段自分の趣味を語らないんですが、
ネット上でくらいはっちゃけちまえ
と思いブログ開設。
TRPGリプレイについてとか
サンホラについてとか語ったり
時々愚痴も入る。人間だもの。
あ、カウンターは自作です。
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