感想を語ったり普通に日記だったりするブログ。時々愚痴も出る。
語るのは主にTRPGリプレイものとサンホラと自サイト関連の話。
+ + + + + + + + + +
君は変わった人だった。つくづくそう思う。
僕は一人を好んでいた。
僕が犯した過ちを考えれば、誰かといようと望むことすら赦されないだろう。
見捨ててしまった。
助けを信じていただろう彼女を、僕は見捨てて逃げてしまった。
それから僕は孤独でいることを己に科した。
誰も寄せ付けない。笑わない。ひたすら黙っていれば皆諦めて去っていく。
一人はいい。
一人ならもう誰も傷つけずに済む。
そう思うようになるとますます他人との壁は高く厚く築かれていった。
僕は一人で生きていく。
僕は一人で死んでいく。
いつまでもそうしていくと信じていた。
君が現れるまでは。
初めて君を見た時も、別に何の思いも抱かなかった。
ただ、同じ色の髪と瞳をしているなとしか思わなかった。
年頃の少女なのに自分のことをボクと呼ぶのは驚いたが、それだけだ。
僕のことを気にかけているようだったが、僕は今までと同じように距離を作り続けた。
それでも君はあきらめなかった。
事あるごとにやって来ては僕の意見を求めたり遊びに行かないかと誘ったり。
次第に無視しきれなくなり、ぽつりと考えを言ったり前向きな返事をしたりするとうれしそうに笑った。
気がつけば僕の隣にはよく君がいるようになっていた。
他の奴らは僕を敬遠して遠巻きにしているのも気にしないかのように僕に声をかけていた。
煩わしいと思う一方で、嬉しいと感じている自分がいた。
君は嘘が下手だった。
なんとか僕を動かそうとして何度か嘘をついたけど僕は全て見破ってきた。
嘘をつくと妙に一生懸命になるからすぐわかるのに君はそれに気付いてない。
嘘を看破された君はいつも肩を落としていた。その様が面白い。
ああ、面白いってこんな感覚だったっけ。
僕は久しぶりに人らしい感情を思い出していっていた。
君といるのは楽しい。そう、楽しいんだ。一人では絶対に得られない楽しさがある。
だけど、僕はずっと他人を遠ざけて生きてきた。
君は入り込んできたけど他の人はそうもいかない。
君が僕に近づくほど、君は他の人から嫌われてしまう。
僕に接することは君の為にはならない。
君のそばは居心地がいいけれど、僕のために君が心地よさを失うことはない。
僕は君の重荷になりたくない。
ある日僕はついに思いを吐き出した。
何故僕につきまとう。僕は一人でいいんだ。
言われた君は困ったように眉根を寄せていた。
そういう生き方は疲れないかい?
君はそう言った。
疲れるもなにも、僕にはこの生き方しかないんだ
そう返すと、君は悲しげに顔を歪めて僕を見た。
苦しそうなその顔が僕の心を締め付ける。
そんな顔をしないで欲しい。
君が僕のことで悲しむ必要なんてない。
僕のことなど忘れてしまえばいい。他の誰かと幸せになればいい。君にはその資格がある。
僕は生きていける。一人でも生きていけるんだ。
うつむいていた君の表情は見えなかった。
次に顔を上げた時、同時に僕の頬に痛みが走っていた。
馬鹿なこと言わないでよ
泣き出しそうな声で、それでも怒っているようだった。
この生き方しかないって、そんなの誰が決めたのさ
何があったのかは知らないよ。過去も変えられないよ
でも未来は変えられるし自分を変えることはできるんだ
それを、何もしようとしないでこれしかないって決め付けて。キミは逃げているだけだ
堰を切ったように君はしゃべりだした。
逃げるという言葉に胸が痛む。
ああ。僕はまた逃げていたのか。
ひとしきり言葉を吐き出したら泣き出してしまった君の頭を撫でて、僕はごめんと謝った。
仲直りの証に指を切っていると、僕たちの周囲を黒衣に身を包んだ男達が取り囲んだ。
彼らは僕に君の引渡しを要求してきた。
要求に対し、君は拒否をつきつけた。それを聞いた男達の敵意が膨らんだ。
彼らは何者か。追われる君は何者なのか。
そんなことはどうでもいい。僕の心はただ一つ。
もう逃げない。今度こそ僕は守ってみせる。
僕は黒い剣を固く握り締めた。
復讐の剣を、今度は自分以外の人の為に振るおう。
「**!」
君が何か叫んでいる。
口にしているのは僕の名だ。
「**! しっかりして!」
うっすらと目を開けると君の顔があった。
「大丈夫、傷は浅い。絶対治るから、しっかりするんだ!」
雨の雫に頬を濡らしながら君は叫んでいた。
ああ、相変わらず君は嘘が下手だ。
自分のことはよくわかる。この傷で助かるはずがない。
それに……助かるんなら、どうして君は泣いている?
冷たい雨が降りしきる。もう感覚は半分ばかり麻痺している。
僕は死ぬんだな、とどこか客観的に自分の死を見つめていた。
追手の男達は全て倒した。しかし最後の一人で詰めを誤った。
後は止めをさすだけだったのに。まさかうずくまった体勢から斬りつけてくるとは思わなかった。
なんだっけ。2リットルの血を失うと危ないとどこかで聞いた気がする。
斬られた腹から流れ出た血は今、どれほどだろう。
霞んでいく視界の中に僕を見る君がいる。
「……! ……!!」
何?
何を言っているのかよく聞こえない……。
でも、その次の言葉は、はっきりと聞こえた。
おかえりなさい。
君の声じゃない。
だけど、懐かしい声。
おかえりなさい――ローランサン。
遠くで微笑んでいる少女。
ああ、赦してくれるんだ。
僕を迎えてくれるんだ。
微笑みを返して、僕はつぶやいた。
ただいま、シエル。
僕は一人を好んでいた。
僕が犯した過ちを考えれば、誰かといようと望むことすら赦されないだろう。
見捨ててしまった。
助けを信じていただろう彼女を、僕は見捨てて逃げてしまった。
それから僕は孤独でいることを己に科した。
誰も寄せ付けない。笑わない。ひたすら黙っていれば皆諦めて去っていく。
一人はいい。
一人ならもう誰も傷つけずに済む。
そう思うようになるとますます他人との壁は高く厚く築かれていった。
僕は一人で生きていく。
僕は一人で死んでいく。
いつまでもそうしていくと信じていた。
君が現れるまでは。
初めて君を見た時も、別に何の思いも抱かなかった。
ただ、同じ色の髪と瞳をしているなとしか思わなかった。
年頃の少女なのに自分のことをボクと呼ぶのは驚いたが、それだけだ。
僕のことを気にかけているようだったが、僕は今までと同じように距離を作り続けた。
それでも君はあきらめなかった。
事あるごとにやって来ては僕の意見を求めたり遊びに行かないかと誘ったり。
次第に無視しきれなくなり、ぽつりと考えを言ったり前向きな返事をしたりするとうれしそうに笑った。
気がつけば僕の隣にはよく君がいるようになっていた。
他の奴らは僕を敬遠して遠巻きにしているのも気にしないかのように僕に声をかけていた。
煩わしいと思う一方で、嬉しいと感じている自分がいた。
君は嘘が下手だった。
なんとか僕を動かそうとして何度か嘘をついたけど僕は全て見破ってきた。
嘘をつくと妙に一生懸命になるからすぐわかるのに君はそれに気付いてない。
嘘を看破された君はいつも肩を落としていた。その様が面白い。
ああ、面白いってこんな感覚だったっけ。
僕は久しぶりに人らしい感情を思い出していっていた。
君といるのは楽しい。そう、楽しいんだ。一人では絶対に得られない楽しさがある。
だけど、僕はずっと他人を遠ざけて生きてきた。
君は入り込んできたけど他の人はそうもいかない。
君が僕に近づくほど、君は他の人から嫌われてしまう。
僕に接することは君の為にはならない。
君のそばは居心地がいいけれど、僕のために君が心地よさを失うことはない。
僕は君の重荷になりたくない。
ある日僕はついに思いを吐き出した。
何故僕につきまとう。僕は一人でいいんだ。
言われた君は困ったように眉根を寄せていた。
そういう生き方は疲れないかい?
君はそう言った。
疲れるもなにも、僕にはこの生き方しかないんだ
そう返すと、君は悲しげに顔を歪めて僕を見た。
苦しそうなその顔が僕の心を締め付ける。
そんな顔をしないで欲しい。
君が僕のことで悲しむ必要なんてない。
僕のことなど忘れてしまえばいい。他の誰かと幸せになればいい。君にはその資格がある。
僕は生きていける。一人でも生きていけるんだ。
うつむいていた君の表情は見えなかった。
次に顔を上げた時、同時に僕の頬に痛みが走っていた。
馬鹿なこと言わないでよ
泣き出しそうな声で、それでも怒っているようだった。
この生き方しかないって、そんなの誰が決めたのさ
何があったのかは知らないよ。過去も変えられないよ
でも未来は変えられるし自分を変えることはできるんだ
それを、何もしようとしないでこれしかないって決め付けて。キミは逃げているだけだ
堰を切ったように君はしゃべりだした。
逃げるという言葉に胸が痛む。
ああ。僕はまた逃げていたのか。
ひとしきり言葉を吐き出したら泣き出してしまった君の頭を撫でて、僕はごめんと謝った。
仲直りの証に指を切っていると、僕たちの周囲を黒衣に身を包んだ男達が取り囲んだ。
彼らは僕に君の引渡しを要求してきた。
要求に対し、君は拒否をつきつけた。それを聞いた男達の敵意が膨らんだ。
彼らは何者か。追われる君は何者なのか。
そんなことはどうでもいい。僕の心はただ一つ。
もう逃げない。今度こそ僕は守ってみせる。
僕は黒い剣を固く握り締めた。
復讐の剣を、今度は自分以外の人の為に振るおう。
「**!」
君が何か叫んでいる。
口にしているのは僕の名だ。
「**! しっかりして!」
うっすらと目を開けると君の顔があった。
「大丈夫、傷は浅い。絶対治るから、しっかりするんだ!」
雨の雫に頬を濡らしながら君は叫んでいた。
ああ、相変わらず君は嘘が下手だ。
自分のことはよくわかる。この傷で助かるはずがない。
それに……助かるんなら、どうして君は泣いている?
冷たい雨が降りしきる。もう感覚は半分ばかり麻痺している。
僕は死ぬんだな、とどこか客観的に自分の死を見つめていた。
追手の男達は全て倒した。しかし最後の一人で詰めを誤った。
後は止めをさすだけだったのに。まさかうずくまった体勢から斬りつけてくるとは思わなかった。
なんだっけ。2リットルの血を失うと危ないとどこかで聞いた気がする。
斬られた腹から流れ出た血は今、どれほどだろう。
霞んでいく視界の中に僕を見る君がいる。
「……! ……!!」
何?
何を言っているのかよく聞こえない……。
でも、その次の言葉は、はっきりと聞こえた。
おかえりなさい。
君の声じゃない。
だけど、懐かしい声。
おかえりなさい――ローランサン。
遠くで微笑んでいる少女。
ああ、赦してくれるんだ。
僕を迎えてくれるんだ。
微笑みを返して、僕はつぶやいた。
ただいま、シエル。
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ゲーマー猫好きひっきー体質。これはひどい。
普段自分の趣味を語らないんですが、
ネット上でくらいはっちゃけちまえ
と思いブログ開設。
TRPGリプレイについてとか
サンホラについてとか語ったり
時々愚痴も入る。人間だもの。
あ、カウンターは自作です。
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