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感想を語ったり普通に日記だったりするブログ。時々愚痴も出る。 語るのは主にTRPGリプレイものとサンホラと自サイト関連の話。
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いろんなリプレイの世界を渡り歩いてしまおうという大胆不敵な読み物『Cross of Legendia』(仮)。通称黒レジ(えええぇ
まだまだ構想段階ですが途中のアリアンロッド編の一部をおもむろに投下。超未完成で穴だらけ(おい
だってこのアリアンロッド編をやりたいがために始めた構想なのにここにいたるまで相当かかりそうなんだもん! そこまで頑張りきれそうにないんだもん!(だめな人

まぁ、仮面の少年の素性がわかる人なら今後の展開もだいたい読めると思う。うん。
S=Fからの参加でしてよ!(笑)
これぞクロス作品の醍醐味(敵でやってどうする

あ、主人公だけはオリジナルです。ちゃんと元になるTRPG世界は考えてありますけど。
話を進める中でどの世界の住人かを考えてもらうのも一つのギミック(笑) でも知ってる人ならすぐわかっちゃうだろうなぁ。

+ + + + + + + + + +


 伝えたい言葉があったんです。
 ずっと、伝えたかった言葉が。
 でも、楽しかったから。
 4人で旅をする時間が楽しかったから。
 伝えたら壊れてしまうんじゃないかと怖くて伝えられませんでした。

 そしたら――二度と伝えられなくなってしまいました。

 伝えたい言葉が、増えました。届けられないとわかっているのに。
 それでも。
 それでも――もしもう一度会えるなら。
 あなたに、伝えたい言葉があるんです。

 聞いてくれますか?

 トランさん――

 

 目を覚ませば青い空に広い草原。
 しかし少年にはそれを眺める余裕はなかった。
 空より何より、すぐ目の前に魔物の大群がいたから。
 たぶん、ゴブリンと呼ばれるものではないだろうか。醜悪な顔に尖った耳、手には包丁ともナイフともつかない得物が握られている。
 そんな連中のど真ん中に少年は落ちていた。
「うわあああああああぁぁっ! いきなりいぃぃぃぃっ!?」
 叫び声に反応するように、ゴブリン(?)達が彼を見た。しまった、叫ぶんじゃなかったと思っても後の祭だ。
 少年は慌てて剣は抜いたものの、対処に困っていた。数が多すぎる。
 逃げるのも無理そうだし……。
 じり、と慎重に間合いをはかりながらゴブリンの群れを見る。と、そこへ――
「ゲイ・ボルグ!」
 声がした。まだ若い、恐らくはまだ少年と呼んでいいだろう声。
 しかしそんな悠長なことを考える余裕は残されていなかった。何故なら、声と同時に無数の槍が雨となって空から降り注いだから。
「うわー!?」
 死ぬ! これは間違いなく死ぬ!
 死を覚悟しながらせめてもの抵抗で頭を抱える。そばにいたゴブリンが槍に貫かれたのか、何かが潰れる音がしたが怖いからそっちは見ない。
 どれほどその場でじっとしていただろう。
 実際には10秒にも満たなかったはずだが、彼には妙に長く感じられた。
 静かになったような気はする。しかし顔を上げるのはなんとなく怖い。
 そうしてうずくまったままでいると、先ほどと同じ声がした。
「おーい、大丈夫かそこの人ー」
「え?」
 声に顔を上げると、一人の青年が見えた。
「悪い、人がいるとは思ってなかったんだ」
 申し訳なさそうに彼は頬をかいた。人の良さそうな顔をしている。赤いバンダナが印象的だ。
「い、いや……助けてくれてありがとう。あのままだったらやられてただろうから。
……ちょっと、怖かったけど」
「オレはヴァリアス。ヴァリアス・ヴァンガードだ」
 ヴァリアスと名乗った彼は人懐っこい笑顔を浮かべた。そうして左右で色の異なる瞳で少年を見る。
「それで、あんたの名前は?」
「あ、僕はヒカリって言います」
 よろしく、と言いながら手を差し出す。ヴァリアスはしっかりと握手を返した。
「それにしてもアンタもよくやるなぁ。サムライでもないのにゴブリンの群れにつっこむなんて」
「……好きでつっこんだわけじゃないです」
 感心したように言うヴァリアスに、ヒカリは疲れた声で返した。
「それにしてもさっきの技はすごかったですね。あの数を一撃で倒せるなんて」
「まぁ強いんだが……敵味方の区別がつけられないんだ。おかげで仲間を町に置いてくることになったし」
「そうなんですか……。強いけどけっこう難儀なんですね」
「負担もきついから、一回使うとしばらくは使えないしなー」
 言いながら槍をくるくると回す。遊んでいるようだが、素人にはできない槍さばきのように見えた。
「ヒカリはこれからどうするんだ?」
「え? えっと……あてはないんですけど……」
「じゃぁせっかくだから途中まで一緒に来るか? 町には寄りたいだろ」
「あ、はい。じゃあお言葉に甘えて……」

 

 は……はっ……
 息を切らして少女は走っていた。何かに追われているらしく、しきりに後ろの様子を気にしていた。
 緑色のマフラーがしきりに上下に揺れる。

 どうして

 少女は先ほどから同じ言葉を胸中で繰り返していた。

 どうして

 疑問の対象はいくつもある。

 どうして――?

 答えのない問いを繰り返しながらも、少女は走っていた。
 もつれそうになる足をなんとか前に出し続ける。今は足を止めるわけにはいかない。
 そんな少女の背中に、石のつぶてが飛来した。
「――っ!」
 気付いても反応が間に合わない。直撃を受けた少女は体勢を崩して地に倒れた。右手首につけた鈴がチリンと一際大きく音を立てる。
 早く立ち上がらないと。みんなのところへ――
 思っても気ばかりが先走ってうまくいかない。少女の指が土を掻いた。
 そうこうする間に視界に人影が入ってきた。赤いローブが嫌でも目に入る。
「ぁ……」
 半ば呆然とした呟きを漏らしたのは少女。ゆっくりと視線を上げていけば、唾の広い帽子が空を赤色に変えていた。
 男はへたれ込んだ少女を見下ろしていた。
「どう……して……」
 少女はついに問いかけを口にした。しかし追手は答えない。
 男の腕が、ゆっくりと少女に伸べられた。
 手を貸すつもりにしては、どこか不自然な伸ばし方でありながら。
 つられるように少女もまた手を伸ばした。救いを求めるように。
 男は伸ばした腕の指を広げ――その手の平が、じゃこんと音を立てた。

 紫色の瞳は無表情に少女を映していた。

 

「よーファム。戻ったぜぃ」
「あ、ヴァリアスさん! お帰りなさい」
 元気そうだな、という印象を受ける少女だった。
 ピンクのリボンがついた黒い帽子の隙間からアホ毛が二本、ぴょこんと飛び出している。
 ヴァリアスはファムにぐっと親指を立てた。
「魔物の群れはしっかり倒したぜ!」
「さすがですヴァリアスさん! すごいですっ!」
「そんなに褒めるなって」
 と言いながらもヴァリアスはまんざらでもなさそうだった。
「ところでヴァリアスさん、エイプリルさん達とすれ違いませんでした?」
 知らない名前が出た。
 ヴァリアスは首を振って答えた。
「いや、見てないな。あいつらがどうかしたのか?」
「ちょっと席を離れた間にいなくなってたんですよ!
勝手にいなくなるなんてひどいと思いませんかっ!?」
「お、落ち着けファム。話はわかったから、な?」
 憤慨して机を叩くファムとそれをなだめるヴァリアス。

「あ、エイプリルさんですっ!」
 ファムが扉の方を指差すが、それらしき人物はいなかった。
「へ? いないじゃないか」
「今、外を走っているのが見えましたっ!」
 走っていると聞いてヴァリアスの顔が引き締まった。何か嫌な予感があったのかもしれない。
「……何か、あったみたいだな。追いかけるぞ、ファム!」
「はいっ!」

 扉から出てきたのは3人の男女。
「エイプリルさん! ノエルさんは大丈夫なんですか?」
「……」
 エイプリルと呼ばれた少女がファムに向き直った。
 容姿端麗。まさに美少女といっていい。
 赤で統一された衣装。服と同じ赤色の帽子の下から金色の髪が美しい曲線を描いて伸びている。
 少女の小さくふっくらとした唇が、言葉を紡いだ。
「よくはねぇな」
 …………。
 外見に似つかわしくない、渋い声と台詞だった。
 固まっているヒカリにヴァリアスがぼそぼそと囁いた。
「言い忘れてたけど、エイプリルって外見は綺麗だが中身はさながら歴戦の親父冒険者だからな」
「……もっと早く言って欲しかった……」
 がくりと肩を落とす。
 金髪の青年が一歩前に歩み出た。
「傷自体は治癒魔法(ヒール)でほとんど塞がっているんだ。
ただ……」
 青年は痛ましげに目を伏せた。
「精神的なショックが大きいようでな……」
「……」
 エイプリルが重々しく頷いた。


 赤い帽子の男が遠目に見える街を見下ろしていた。
 ふと、後ろに気配が現れた。
「どうして逃がしたのかな」
 奇妙な仮面を顔につけた少年が問う。言われた男は肩をすくめた。
「3人が思ったより早く駆けつけたものですから。いくらなんでもわたし一人で彼らに勝つのは無理です」
 少年はいささかいらついたように言葉を返す。
「手がいるなら貸すって言ったはずだよ。"キミの同類"ならいくらでもいるんだから。
まだ柱を立てられるほどこの世界に適応してはいないとはいえ、彼らを倒すくらいの戦力は用意できる」
「……ええ。次はそのお力を借りたいと思います」
 どこか冷ややかさを含んだ物言いで男は頷いた。
「この街ごと襲撃してしまえばいいじゃないか。そうすれば出てくるんだろう? キミ達人間ってやつはさ」
 にぃ、と少年の口元に物騒な笑みが浮かんだ。男は鋭い視線を浴びせた。
「方法はわたしに任せると言っていたはずでしょう」
「ああ、そうだったねぇ。いいよ、ボクにとっても愉しみだから」
 仮面の奥の瞳が男を見据えた。
「キミがかつての仲間をどう嬲り殺すのか、とても愉しみだよ」


「前任者」
 レントが一歩前に出た。
「任務に失敗した挙句に、大首領から保護の命が出ている継承者殿に危害を加えるとは」
 彼の紫色の瞳に、わずかな敵意がにじみ出た。
「どこまでダイナストカバルの名に泥を塗るつもりだ」
「……」
 トランは黙ってレントを見た。同じ色の瞳が向かい合う。

「おっと、ボクも忘れてもらっちゃ困るね」
 現れた女性を見たファムが思わず声を上げた。
「そんな……リリスさん!?」
「久しぶりだね、ファム。元気だった?」
 旧友と再会したかのような言い方だった。黒く艶やかな長い髪の女性。
「リリスさん……どうしてこんなことを……!」
「ボクはこうするしかないんだ!」
 強い決意を秘めた目。

「さぁ、始めましょうか」
 トランが淡々と宣言すると周囲に魔物の群れが現れた。

「クリスがカバーに入ると実に面倒です。彼は誰も庇えない位置で隔離しておきなさい。
エイプリルの銃は至近距離になってしまえば攻撃ができません。3部隊は彼女に接近すること。
それと、メイジは脅威ですからね。先に狙って下さい」
「……っ」
「相も変わらず的確な指示だぜ。今となっちゃ厄介以外の何物でもないがな」
 エイプリルが毒づいた。

「なるほど、氷使いですか。自らの速度を高め、先手を打って相手を放心させ呼吸を乱す。
なかなか厄介な戦法を使います」
「……」
 トランの感嘆するようなつぶやきにもレントは冷たい一瞥を与えただけだった。
「リリス。レントの攻撃は任せました。あなたなら放心することもないでしょうから」

 リリスがエイプリルに指を突きつけた。そしてその指をついとレントに向ける。
「ねぇキミ。あいつ、邪魔だから攻撃しちゃってよ」
「――!?」
 ぴくんとエイプリルの体が震えた。リリスに向かっていた銃口がそれる。先端はぴたりとレントに当てられていた。
 抗おうとしても腕が言うことをきかない。引き金にかけたエイプリルの指に力がこもる。
「……くそっ! 避けろレント!」
「な――」
「プロテクション!」
 咄嗟にクリスが光の壁でレントを守る。しかし放たれた弾丸の勢い全てを殺しきることはできず、レントのローブに穴が開いた。
 クリスが怪訝な顔でエイプリルを見た。
「エイプリル! お前、いったい何をやっている!?」
「俺が知るか! あの嬢ちゃんの言葉を聞いたら体が勝手に動いたんだ!」
 敵の攻撃をかろうじて避けたヴァリアスが叫んだ。
「リリスは相手を誘惑して操ってくるぞ! 気をつけろ!」
「そういうことは早く言え!」
「う、すまん……っ」

「いきますっ」
 ファムが元気よく叫ぶと、彼女の周りに風が集まった。
「避けて!」
 リリスが叫んだが、既に部隊は風に飲み込まれていた。

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ゲーマー猫好きひっきー体質。これはひどい。

普段自分の趣味を語らないんですが、

ネット上でくらいはっちゃけちまえ

と思いブログ開設。

TRPGリプレイについてとか

サンホラについてとか語ったり

時々愚痴も入る。人間だもの。

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